「モダンタイムス」
2009/06/05 00:00
この小説は、週刊モーニングに連載されていたらしく
大まかな筋書きだけ一応は決めておいて
細かいところは連載しながらその都度決めて
書き進めていったものだそうです。
作者いわく、「長い話を56回に分けて連載したというより、
全力疾走した短いお話を56個積み重ねたような不思議な
小説になったような気がします。」
モダンタイムス (Morning NOVELS) (2008/10/15) 伊坂 幸太郎 商品詳細を見る |
確かに、1編の話の完成度が高くて、
毎回1つの話の中で、ちょっとした展開もあるし、
笑えるし、感動もある。
会話、名言などの伊坂さんお馴染みのお楽しみ部分も
必ず含まれています。
毎回プチ伊坂(?)を堪能できる・・。
2,3編読んだだけで1冊読み終えたような充足感。
話の先は全く見えなくても別段もどかしくもない。
だ~っと加速度がついて読み進むこともなく、
ただゆるゆると読んでいたのです。
そしてそんな今回のテーマは・・
この世の中は分業化されている。
誰もが分業化された部品で
全体はわからないまま
ただ自分の与えられた役割をこなしてるだけ。
そういうシステムになっている。
そうやって世界は動いていっている。
だから私はベルトコンベアで運ばれてくる商品のように
伊坂幸太郎の56編を黙々と読み、楽しむ・・。
そんな役割を与えられたかのように・・。
1冊の本を10日くらいかかって細かく楽しんでた。
この小説はそういうふうにできていたんだ!?
全力疾走した短いお話を描いた伊坂さんに敬意を表して
私も全力で集中して短いお話を味わってみたわけです。
「人間は大きな目的のために生きてるんじゃない」
何も考えず目の前の小さなことのために動く
それが人生で大事なこと。
だからいまさら、全体なんてどうでもよくなってる。
日々楽しかったからそれでOKという大胆で独りよがりな
感想に落ち着いてしまった・・。
読んでる時は、最後まで読み終えたら
もう一度最初から一気に読んで全体を把握して
評しようと思ってたけど・・。
なぜか今は「ま~いっか~」と思えます。
「見て見ぬふりも勇気だ」
「知っている」と思ってても結局は
自分がそう「信じている」ということにすぎないわけだし。
ラストの56章目に、タカがでてきて
ずっと忘れてたけど、「魔王」とつながってたことに気付きました。
そうか・・彼だけが全体を見渡していたのかも・・。
渡辺の奥さん佳代子さんが私は好き!!
伊坂作品の好きな人物として5本の指に入りますね。
男性はこんな人身近にいてほしくないかもしれないけど。
過激さの中に少女ぽさもあって、その奔放さがなんともキュート。
それでいて、発言が鋭く核心を突いてるし・・。
こんなふうに生きられたら人生楽しいだろうな・・って
羨ましく思えるのです。
彼女の言葉か渡辺のかは定かではないけど
佳代子さんの「愛してる」にはほろっときたよ・・。
伊坂幸太郎 | Comment(8) | Trackback(0) | Top ▲
コメント
なるほど、モダンタイムスの意味はそう言う事でしたか♪ 面白そうですね。 私も早く読みたいなあ・・・。 文庫化を待つ私です。
No:868 2009/06/06 01:48 | miroku #-URL[ 編集 ]
mirokuさんへ
読んでない人には、さっぱりわからない
独りよがりなレビューになってしまいました(^^;
これはとにかく全体を考えず、連載を読むように
細かく読んでその都度楽しんでいくのがいいと思いますよ・・。
全体の意味とか、構成とか、伏線とか・・
見て見ぬふりするのも大事です・・。(^^)
私も文庫本になったら購入して、もう一回読みたいですね~
伊坂作品コンプリートも残りがあと少しになってきので、ちょっと寂しいです。
No:869 2009/06/06 07:47 | るるる☆ #-URL[ 編集 ]
るるる☆さん、こんにちは♪
>>「人間は大きな目的のために生きてるんじゃない」
何も考えず目の前の小さなことのために動く
それが人生で大事なこと。
ホント、そうだなって思いました!伊坂さんはまだまだ読んでいない本が沢山ありますが、この本も要チェックしておきます。。。私も文庫になってからかな。。。最近、本にお金を使い過ぎな私です(@_@;)
No:870 2009/06/06 09:16 | ジーナフウガ #sAEroksEURL[ 編集 ]
『魔王』が未読のままこれ読んだんですが、きっちり楽しめました^^世の中の歯車として翻弄されるスピード感もある作品でしたね。でも謎が謎のままのものが多く、とりわけ佳代子の出生はぜひとも明かして欲しい!笑
No:871 2009/06/06 10:12 | チルネコ #-URL[ 編集 ]
見て見ぬふり..なるほど
こんにちは、YO-SHIです。
「見て見ぬふり」が、私はできませんでした。(笑)
確かに一話一話は面白かった。それを楽しめば良かったんですね。
佳代子さんはいいキャラクターでしたね。
自分の奥さんがあんなではたまりませんけれど。
でも彼女は何者なのか?とか、気になってしまって..
No:872 2009/06/06 10:16 | YO-SHI #DvI991twURL[ 編集 ]
ジーナフウガさんへ
そうなんですよ。
私も読みながら西川きよしが「小さなことからコツコツと・・」
って言ってたのを思い出してしまいました(^^
大金持ちになった夫婦が大金を大きなことに使うのでなく、
とりあえず目の前の困った人から助けていこう・・
って、少しずつお金を分け与えていくのが素敵でした。
なんか今回じっくり読みすぎて、
内容すべてが自分の血肉となってしまったかのようです(^^;
No:874 2009/06/06 15:51 | るるる☆ #-URL[ 編集 ]
チルネコさんへ
あまり「魔王」とつながってる部分はなかったですね。
安藤詩織と潤也のエピソードくらいでしょうか・・。
詩織がおばあちゃんなのに女子高生の頃の
雰囲気のままだったのが可愛かったです。
私は佳代子より佳代子の前の旦那さんがどうなった
のか、とても気になります(^^;
No:875 2009/06/06 15:55 | るるる☆ #-URL[ 編集 ]
YO-SHIさんへ
いつもダーっと一気に読んでしまうので、
残り少ない伊坂作品を味わって読もうと・・ゆっくり読んでみました。
だから、読み終えただけで満足してしまって、
全体を振り返って、いろいろ考えるのが面倒くさかった
・・というのもあるのですが・・(^^;
佳代子さんいいですよ~^^
女性はみんなあんな風に面と向かって疑って、確認してみたいところなんですよ(^^;
浮気に限らず・・いろんなことを!!
みんな気になるけど「見て見ぬふりしてる」だけなんですよ^^
No:876 2009/06/06 16:13 | るるる☆ #-URL[ 編集 ]
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