「キャベツ炒めに捧ぐ」

2013/04/04 14:26 

キャベツ炒めに捧ぐ (2011/09/01) 井上 荒野 商品詳細を見る

お惣菜屋さんの「ここ家」で働く三人の女性の話。
各タイトルが、料理名になっていて目次眺めるだけで
食欲と読書欲がわいてきます。

郁子、江子、麻津子の個性たっぷりの独身６０代（前後？）
それぞれが人生の酸い甘いを潜り抜けてきただけあって、
いろいろあったんだけど、口には出さず、
お互いも立ち入らず、

でも職場では（時にはアフターでも）気の合う気さくな仲間。

この女同士の距離感がよかったです。


ベタベタするでもなく、傷を舐め合うでもなく、
でもいつも見守っている。心はいつも近い距離にあるので、
何かあると（必要とされると）すっ飛んでいく。


プライベートでも各自が長年続けてきたこだわりを持った
自分だけの生活を楽しんでいるし・・。もちろん料理も！
いろんな寂しさや悲しみを心に抱えているけど、
凛とした、自分の足でしっかり立っている女性たちの姿が
素敵でした。


ほっこりしたり、切なくなったり各話の読後感も最高です。
料理をモチーフにした小説って、どれも温かくて心安らいだ気分に
なりますね。


井上荒野さんの文章が大好きです。
勢いがあって、率直で迷いがない！
他作品もいろいろ読んでみよう～