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読んだ小説、絵本、映画、音楽のこと・・いろいろ語ってます。
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「蛇を踏む」

2011/01/24 16:05 

蛇を踏む蛇を踏む
(1996/08)
川上 弘美

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「テニスもせず、ヨガもせず、オートキャンプにも行かず、さかあがりもできず、
たいがいの空いている時間は「うそ」の国で遊びほうけているわけで、客観的に見て、
健康的な生活とはいいがたいです。でもこれでずっと育ってきてしまったのだから、
しょうがないです。
もしもこれを読んでくださるかたの中に「うそ」の好きなかたがいらしたら、
わたしの作った「うそ」の中でちょっと遊んでみてはくださいませんでしょうか。
そうしてくださったら、とても嬉しいのです。」

(あとがきより)


自分の書く小説のことを「うそばなし」とよぶ川上さん。
確かに、ファンタジーともSFとも言えそうだけど・・ちょっと違う。
まさに「うそばなし」!!
芥川賞受賞作「蛇を踏む」と「消える」「惜夜記」の3編が収録。

「うそ」の国の入口は狭いが、奥行きは案外広い
というそれぞれの入り口は、


「ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。」(「蛇を踏む」)


「このごろずいぶんよく消える。一番最近に消えたのは、上の兄で・・」(「消える」)


「背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった」(惜夜記」)



ここから、するっと「うそ」の国にもぐりこめたら、楽しい読書になるけど、
ここでいろいろ考えてしまうと、読むのが苦痛でしょうがなくなってくる・・。
頭や心を柔らかくして、ゆったり身を委ねてしまうと「うそ」の国でたっぷり遊べます。



☆やはり秀逸だったのは「蛇を踏む」

「好きが裏返って嫌いになってまた裏返って好きになってあと三回くらい裏返って
少し嫌いなのよね。でもそういう嫌いの中には好きがまだらにまぶされているから、
コスガはすごく気分が悪いんだわ。」


言葉にできないこういう微妙な思いを、素敵に文章で表す川上さん。
揺れ動く母への思い(蛇?母?)を描いた作品です。


☆これはすごかった!!「惜夜記」(あたらよき)

2~3ページのショートショートが18章。と思ったら繋がっていた。
カオスっぷりがすごい。こんな小説読んだことないです。


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「どこから行っても遠い町」

2011/01/20 19:38 

どこから行っても遠い町どこから行っても遠い町
(2008/11)
川上 弘美

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東京の小さな町の商店街をゆきかう平凡な人々の
穏やかな日常が淡々と描かれています。
人と人とが連鎖していく短編集。

私は、川上弘美は短編集のほうが好きです
1行目から、川上ワールドにするすると引き込まれてしまいました。

亡くなった妻の愛人と同居する魚屋、女好きの父親、家庭内別居する両親、クールな女友達、
平凡な嫁と風変わりな姑、12歳ちがいの義理の母親、三度よりを戻す板前と女将。

自分の身近にいる人を見つめるまなざしは温かくも厳しい。そんな
親子や夫婦、友達や恋人に抱く言葉にならない思いを、
頭の中をめぐる思いと同じようにぐるぐる、ぐるぐると描く
川上さんの文章が素敵でした。

幸せと言うには不満だらけだけど、不幸せなわけでもない。
人はみな、平凡でありながらもどこか危くて、
でも劇的に変化することもなく、ぐるぐるした思いを
抱えながら生きていくものなのかもしれない・・。


風変わりなお姑さんが素敵な「長い夜の紅茶」が一番好きです。

川上弘美 | Comment(0) | Trackback(0) | Top ▲

「ニシノユキヒコの恋と冒険」

2010/03/31 08:00 

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)
(2006/07)
川上 弘美

商品詳細を見る


再読です。去年文庫落ちされたので買いました。

ニシノユキヒコを巡る女性10人の視点からなる連作短編集。
14歳から50歳までのニシノユキヒコが描かれてます。

誰のことも愛さない、でも愛を求めてやまない・・
そんなつかみどころのないニシノユキヒコ。

年齢的な時系列がバラバラなこの小説。(あえてそのように並べてあるのですが)
私は今回は彼を分析しつつ味わいつくすために、年齢順に読んでみました。


ニシノユキヒコも曲者だけど、付き合った女性達もかなり普通じゃない人が多いような気がする・・。
どの女性にも自分を投影できなかった。
出会った相手が悪いのか、そんな女性に愛されてしまうニシノユキヒコが悪いのか・・。
それともニシノユキヒコが女性をそのように変えてしまうのか・・。

読めば読むほど分からなくなります。

でもなんともいえない魅力があるのです。このニシノユキヒコには・・。
なぜかはまってしまいます。
女性の気持ちにするっと入ってくるスマートさが良いのでしょうか・・。



前回のレビューで「百万回生きたねこ」に似ていると書きました。
折りしも、ツイッターで大人のための絵本読書会があり、
課題本がその「百万回生きたねこ」でした。
(私は眺めてるだけだったのですが・・)

百万回生まれ変わっても誰のことも愛さないねこ。
一度も誰のねこにもならなかったねこ。
最後に白いねこのことを好きになって、初めて生まれ変わらず命を全うしたねこ。


愛されるだけの受身の人生であったねこは、
実は一回も生きてなかったのでは・・。
自分で行動を起こして初めて死ねた。
生きるということは受身じゃないのである。

そんな皆さんのツイートが印象に残りました。


ニシノユキヒコも50代、死ぬ前に出会った愛という十代の少女との恋愛だけは、
常軌を逸した行動に出ます。
愛を失うのが怖くて、愛に執着し、縛りつけます。
今までには決してないほんとに弱くて、ぶざまな彼の姿に心打たれました。

そして死後、夏美の前に現れるニシノユキヒコはなんとも寂しげ。
愛されるだけの受身の人生で、
彼は満足していたのだろうか・・。
自分の生を全うできたのだろうか・・。

1章目にあたる夏美の章を今回(年齢順に読んで)最後に読むことによって、
そんな思いが残りました。

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「大好きな本」川上弘美〔書評集〕

2009/10/15 16:43 

川上弘美がここ10年間、読売新聞や朝日新聞で連載して書いていた書評、
文庫本のあとがきで書いたものなど全144冊の書評集。

大好きな本 川上弘美書評集大好きな本 川上弘美書評集
(2007/09/07)
川上 弘美

商品詳細を見る


本ガイド!私のおすすめ本!とは一味も二味も違う。
書評丸ごと川上ワールドである。アップロードファイル

言葉の使い方、文章が独特で絶妙なのは言うまでもない。
本の読み方も凡人とは全然違う!!きゃー

私は今まで全然本を読んでなかったんだな~と感じたほど・・。
・・・文字を読み、それを理解するだけで精一杯。
川上さんは本の中に入り込んで、小説の匂いや色など
五感で感じ取っておられる・・。
読みが深いというのとはまた違う・・。もっと自然。
私もそういう風に本をよんでみたい。♪
そして川上さんみたいな書評を書いてみたい!!やる気


『うまいのだ。何がうまいって、一行も読みとばさせないのだ。読もうとしなくても、しみこんできてしまう。』(「箱の夫」)

『ほのぐらい久世光彦の文章の手ざわりにも、夕刻の光が似合うのである。』(「泰西からの手紙})

『河野多恵子の作品を読むときにいつも思うのは、「すり足」という言葉である。足うらを床から離すことのない静かな歩み。』(「後日の話」)

『江國さんの本は、いつも江國さんのひみつに満ちている。すみからすみまで。』
『江國さんのひみつは、どうしてあんなに緊密できれいでせつないのだろう。文章の力、だとわたしは思う。』
(「すいかの匂い」)

『‘夜のミッキーマウスは、昼間より難解だ。’などという始まりの二行を読んだだけで、私はシュッと音をたてて大箪笥の陰に隠れたくなってしまう。どきどきするから。』(夜のミッキーマウス」)

しみこんできてしまう文章って・・?夕刻の光が似合う文章って・・?「すり足」を思わせる文章って・・?音を立てて箪笥の影に隠れたくなるほど、どきどきする文章って・・?どんなだろう!!
私も思わず追体験したくなる。

144冊のうち私が知ってる小説は、ほんの一握り・・。
よ~し読むぞ!!川上さんが感じたことを確認してみたくなる。
そういう意欲がわいてくる。

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「神様」

2009/08/06 07:55 

これもまた大人のお伽話キラキラ(オレンジ)

神様 (中公文庫)神様 (中公文庫)
(2001/10)
川上 弘美

商品詳細を見る



おかしな生き物たちとの不思議な触れ合い。

(梨木香歩の「家守綺譚」みたい・・)

大好きな世界。♪

日常から地続きのファンタジー。

どっぷり浸かってみると、何故だか心が豊かに満たされていきます。

三つ隣に住むクマ、梨を食べる生物、河童に人魚。
叔父さんの幽霊、壷に住むコスミスミコ、えび男くん。


不可思議な世界の住人たちは、温かくせつない。
人間にはない純粋で清らかなものを持っているからでしょうか…。


「チジョウノモツレ」で壺に入ってしまったもてもてのコスミスミコと
「星の光は昔の光・・・終わった光」に涙するえび男くんが好き!!

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「ニシノユキヒコの恋と冒険」

2009/05/07 15:36 

ニシノユキヒコ。
彼とかかわった10人の女性視点の物語。

愛おしくなったり、切なくなったり、ムッとしたり・・。
ニシノユキヒコに翻弄されてしまいます。

なんかはまってしまいますフフフ、うまくいった…。
ニシノユキヒコ。

カッコよくて、女性の気持ちにするりと入ってきて、会話も最高、甘え上手。
申し分なくスマートなニシノユキヒコ。
でも彼は心から女性を愛せない。

絵本「100万回生きたねこ」を思い出します。
誰も愛さなかったニシノユキヒコが死ぬ前に見つけた本当の愛!!

恋が始まる時の気持ちや、別れの時のもやもやした言葉にならない思いを
川上さん独特の文章で素敵に表現されてます。


ニシノユキヒコの恋と冒険ニシノユキヒコの恋と冒険
(2003/11/26)
川上 弘美

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長くなってしまったので、追記で
そのときその年齢の西野君、ニシノさん、ユキヒコ、幸彦をお楽しみください。

>> ReadMore
「パフェー」
私より一回り年上のニシノさん。
甘ったるいような苦いような、ちょっとなつかしい・・そんな気配を持つ素敵なニシノさん。

「草の中で」
隣のクラスの西野君の周りには、他の子には決してない不思議な空気が漂っている。やわらかくてあたたかくて気持ちいい空気。
でもその空気をいくら押しても、その向こうにある西野君には届かない。

「おやすみ」
私の直属の部下ユキヒコ。
ユキヒコはいつもなめらかで、もうしぶんなくて「素敵」。だけど身のうちのどこかがいつもぎくしゃくしている。「僕の体の一部はつくりものなのかもしれない」とユキヒコは言う。

「ドキドキしちゃう」
甘い顔と、清潔さと、あたしの浴衣の帯をきちっと締め直してくれる几帳面さが幸彦の持ち味。
そんな元彼の幸彦との温泉旅行。でも二人の間には二人を分断する時間の流れが存在する。

「夏の終わりの王国」 
クールにふるまっているけど、案外勤勉で努力家な西野くんにわたしは好意を抱いた。
でもわたしは西野くんを愛しながら小さな違和感を感じていた。
小さいけど、とても固いしこりのような違和感を・・。

「通天閣」 
ニシノは昴の恋人。なのに「タマちゃんを抱きたくなっちゃった。」なんて言う。

「しんしん」 
私より5歳年下のニシノくん。どこか人をくったような、それでいて繊細な表情。
ニシノくんはいつでも本気で誰かを好きにならないように気をつけている。

「まりも」
妙齢の女性に混じって「省エネ料理の会」に参加していたニシノくん。
ニシノくんはするりと女性の気持ちにすべりこんでくる。女自身も知らない女の望みを、いつの間にか女の奥からすくいあげて、かなえてくれる男。それがニシノくん。

「ぶどう」
あたしは、まだ西野さんの半分も生きてない。
あたしは西野さんを愛していない。好きですらないないかもしれない。
でも西野さんは言う。「僕はおそらく今、これまでの一生の中で、いちばん常軌を逸した状態にあるよ。」

「水銀体温計」
大学で出会った高校の後輩の西野くん。
「どうやったら誰かを愛せるの?」
なにもかも簡単にできるくせにそう問う西野くんが私はいとわしかった。

・・最後まで読んでくださってありがとうございます。えへっ
読みにくかったでしょう・・
ちょっと失敗だったかな・・こーいうレビューに挑戦してみたかったんです。

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Author:るるる☆
本と映画が好きな主婦です。

<好きな作家>伊坂幸太郎、村上春樹、森博嗣、森見登美彦、三浦しをん、今野敏

<好きな音楽>秦基博、斉藤和義、Mr.CHILDREN、BUMP OF CHICKEN、RADWIMPS

<好きな映画>ヒューマン系、単館系、ヨーロッパ映画、イギリス王室(歴史)もの

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