2009.11.24 (Tue)
「海の底」

![]() | 海の底 (角川文庫) (2009/04/25) 有川 浩 商品詳細を見る |
横須賀沖から突如現れた巨大ザリガニ!?
何万匹いるとも入れない大群が次々上陸し、人を食す・・・!?
まるでウルトラマンみたいな
冒頭からのいきなりの荒唐無稽な展開に度肝を抜かれて夢中になった!
海自実習幹部生の冬原と夏木は、救出した13人の子ども達と潜水艦内に立てこもるはめに・・・。
しかし、これが単なる怪獣戦闘ものではない!
陸上では警備に当たる警察内部の様子が同時進行で描かれる。
自衛隊に出動要請することは、「白旗」を揚げることに等しいと
警察の意地とプライドを賭けて巨大甲殻類どもと戦おうとする。
一方で政府内閣は日和見的。
自衛隊に軍事出動させるか否か、武器の使用を認めるか否か・・。
しかも場所は横須賀米軍基地内・・。
・・と社会派小説の匂いも漂う。
そして人間ドラマもてんこ盛り。
潜水艦内の子ども達が同じ団地ということで
地域コミュニティの大人たちの問題が子ども達の関係にも
影響を及ぼしていて、仲間はずれやいじめなどでぎくしゃくしている。
冬原&夏木の問題児ゴールデンコンビ
が子どもたちの世話と彼らの人間関係に巻き込まれててんやわんや。
そんな中、夏木と高校生の望の淡い恋物語も楽しめたりする。
警察の方でも、これも県警きっての問題児明石警部と
指揮を執る警察庁のキャリア官僚(こちらも問題児!)烏丸警視正。
この2人がタッグを組んで、ネット上の軍事オタクさんたちも巻き込んで、熱く立ち向かう!!
とにかく一つの小説の中にたくさんのドラマがあって、
こんなに盛りだくさんの内容を一気に描ききる有川さんの力、お見事です。

無骨で不器用な夏木と
さらっと人の気持ちをほぐすのが上手い冬原。
この真逆タイプのコンビが最高に魅力的!型にはまらないやんちゃぶりも楽しい!
この作品ではラブロマンス要素はほとんどないけど、
「クジラの彼」で冬原と夏木の恋愛模様が楽しめる!という2度のおいしさっ!(涎・・
私は先に「クジラの彼」を読んで冬原に惚れまくったのでこちらでもかなり楽しめた〜

夏木と望の恋の「その後」を楽しむには、「海の底」を先に読むのがおすすめ!
2009.11.23 (Mon)
「ぼくの庭ができたよ」
![]() | ぼくの庭ができたよ (1989/02) ゲルダ ミューラー 商品詳細を見る |
広い庭がある家に越してきたベンジャミン一家。
荒れた庭を「町で一番きれいな庭にしてみせるぞ!」と
家族で協力し合って、庭造りを始めます。
苦労の甲斐あって、
夏にはたくさんの花が咲き、野菜は実をつけ、
病気だったりんごの木も見事な花を咲かせます。
植物が育ち始めると虫がやってくる。鳥も集まってくる・・。
素敵な庭に友達もたくさん集まります。
花や実で飾りを作って遊んだり、
実った野菜を収穫してみんなで食べたり。
暑くて寝苦しい夜は、
ベンジャミンは、りんごの木の下に枕を持って行って、
涼しい風を感じ、葉っぱのさらさらという音を聞きながら眠ります。
たくさんの生命と「共に生きる」そんな喜びに溢れています。

季節を感じ、風や太陽とともに生きる。
それが人間本来の生き方であり、
人間も自然の一部なのだな〜と実感します。
ガーデニングというと、面倒であったり、上手く育てられるかな〜とつい構えてしまいますが、
自然の中で生活していると、雑草抜きや植物の手入れも日常生活の一部なのです。
ベンジャミン一家を見ているとそう感じました。
絵も綺麗で細部まで眺めていたくなる絵本です。
「こんな庭が欲しいなぁ」と思わずつぶやいてしまいます。
2009.11.20 (Fri)
「植物図鑑」
![]() | 植物図鑑 (2009/07/01) 有川 浩 商品詳細を見る |
「男の子の前に美少女が落ちてくるなら、女の子の前にもイケメンが落ちてきて何が悪い。」
作者曰く、そういうコンセプトらしい。
「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」
とさやかのマンションの前で行き倒れていたイケメン。
狩っちゃう?料する? ( ̄+ー ̄)キラーン☆
・・・となるとまるで肉食獣と草食動物のような出会いなんだけど・・。
その落ちてた男、樹はまさに躾の行き届いた穏やかな草食動物。
おまけに料理上手、やりくり上手な家事万能男。
朝食に夕食、お弁当まで作ってくれる。
・・・そんな出来すぎた話、絶対ありえないっ!!Σ(゚Д゚;
最初はどうしても受け入れられなかった・・・。
一体この男の素性は?目的はなんだっ?!
ず〜っと気になってしょうがない・・。(´へ `;)
樹が作るヘルシーで美味しい、アイディア満載の家庭料理の数々。
植物オタクの彼との散歩がてらの野草狩り。
家に帰って、2人で仲良く作る野趣溢れる野草料理。
さりげなく、気持ちよく褒めてくれるし、こちらが望むことはいつの間にか叶えてくれる。
とにかく超天然、自然な2人の生活と恋は、今のご時世ではまさに特別天然記念物もの!?
しかし・・あまりに口当たりが良すぎて、何か物足りない・・。
とにかく優しい。しかし優しいだけの男も罪だ。
何もかも受け入れて、大事にしてくれるのはいいんだけど、
優しさゆえにどっちつかずな人生になってしまった樹。
そして、優しさゆえに黙って消えてしまうなんて絶対許せない。
しかし、最後はしなやかな男らしさを見せつけてくれて、
心が掬われたどんでん返しでした。
余談ですが、私は樹はあまり好きになれなかった〜。
有川さんがいつも描く男性は、キラリと輝く個性があって、
ここだけは譲れないという心に不可侵の領域を持ってて、
そこを守り抜く男気が良いのです。
2009.11.18 (Wed)
「坂の上の雲」(三)
![]() | 坂の上の雲〈3〉 (文春文庫) (1999/01) 司馬 遼太郎 商品詳細を見る |
ロシアと日本、圧倒的な国力の差。
戦争だけは何としても避けたい日本は、
懇願するような思いで対露協商に臨む。
しかし、ロシアはわざと返答を遅らせるなど傲慢な態度で日本を焦らし、
その一方で、極東への軍事力をすさまじい勢いで増大させて、
日本を追い詰めていく。
ロシア本国から次々と送られてくる軍艦が港には並び、
旅順には世界でも類を見ないほどの強固な要塞を建築する。
ロシアは日本を死へと追い詰め、窮鼠にした。
もはや日本は死力をふるって猫を噛むしか手がなかった。
日本存亡の崖っぷちに立つ政府首脳たちが熱く涙する。
未だ彼らの心の奥底に残る武士の魂。
自らの命を投げ打ってまでも国を守ろうと覚悟を決める。
日本国を愛する燃え滾る熱い思いに心を打たれた。
「事ここにいたれば、国家の存亡を賭して戦うほか道はない。
もはや、成功・不成功を論じている余裕などは無い。」
先の総理大臣伊藤博文の言葉。
「かくいう伊藤も、ロシア軍が海陸からこの国にせまった場合、
自分も銃を取り、兵卒となり、山陰道から九州海岸で、ロシア上陸軍を防ぎ、
砲火の中で死ぬつもりだ。」
そんな政治家たちの英断によって、火蓋を切り、開戦した日露戦争。
佐世保で待機する連合艦隊に出撃命令が出された時の海軍内部の様子、
それぞれの思いが、ドラマティックに描かれている。
海軍における旅順要塞での戦い、陸軍における金州・大蓮での激しい戦い。
産業も財政も乏しい日本は、とにかく計算されつくした致密な作戦計画と
用意周到な準備で戦いに挑む。
一方、ロシアは大国の驕りからくる、
日本に対する過小評価による作戦の粗雑さや不手際が目立った。
常に冷静沈着で人間としても大きな器を持つ
連合艦隊の司令長官東郷平八郎が魅力的です。
まるで大将になるためだけに生まれてきたようなお人・・。
ドラマでは渡哲也さんが演じられるそうで、渋い演技が楽しみです。
2009.11.16 (Mon)
インフルのこと、BUMPのこと
週末、娘が新型インフルエンザにかかりました。
リレンザのおかげで(10代にはタミフルは処方しないそうです)
1日で平熱に戻り、重症化することなく、順調に回復しております。
日頃、クラブで鍛えているだけあって、結構、体力があったのが幸いでした。
39℃くらい熱があっても食欲はがっつりあって・・・(^^;
「今日の晩御飯なに?」って聞くほど・・・。
私だったら39℃も熱出たら、この世とあの世の境界が決壊してるでしょう・・

全っ然話は違いますが・・
BUMP2年ぶりの新曲!(11月25日発売)に沸いております。

・・・なんとかして、話をこじつけて持っていこうと思いましたが無理でした・・。

雑誌も買ってまいりました!!雑誌を買うとテンション上がるやつです

2年ぶりのご対面〜です

![]() | MUSICA (ムジカ) 2009年 12月号 [雑誌] (2009/11/14) 不明 商品詳細を見る |
![]() | WHAT'S IN (ワッツ イン) ? 2009年 12月号 [雑誌] (2009/11/14) 不明 商品詳細を見る |
タイトル「R. .I .P .」は欧米などで墓碑に記す文字で、
「安らかに眠りたまえ」という意味を持つラテン語の頭文字だそうです。
「そこに君が居なかったこと そこに僕が居なかったこと」
透明感溢れる伸びやかな声、スローなテンポで一語、一語噛み締めるように始まる。
初めて聴いた時は鳥肌でしたね〜。
過去、現在、未来の時間軸を縦横無尽に駆け抜け、
「今を共に居られる」ことの尊さと恐ろしさを描いた
・・・という詞の世界観はかなり深いっ。

ゆっくりと味わいながら、読み(聴き?)解いていきたいです。

R.I.P. / Merry Christmas
2009.11.14 (Sat)
「坂の上の雲」(二)
![]() | 坂の上の雲〈2〉 (文春文庫) (1999/01) 司馬 遼太郎 商品詳細を見る |
19世紀。列強は国家的利己心のみで動いていた。
つまり謀略と侵略だけが国としての他国への意志であり、欲望であった。
地球は列強の陰謀と戦争の舞台でしかなかった。
世界史は帝国主義のエネルギーで動いている。
20年前に産声をあげたばかりの小さな「明治日本」は、
その列強を一挙に真似て、一挙に追いこしてしまえと突っ走っていた。
そうしなければ、日本は列強の餌食になる。弱肉強食。植民地という屈辱から逃れるため。
己の過去をかなぐり捨てたようなすさまじいばかりの西洋化には、日本国の存亡が賭けられていた。
「猿まね」と西洋人に笑われた。「己の風俗を捨てた」と清国には軽蔑された。
しかし、この当時の人々の健気なほどの「猿まね」が、
かつてどの国にも支配されたことのない日本の歴史を作り、
現在の確固とした平和な日本の姿の礎となるのである。
海軍大尉となった秋山真之は、それまでの慣習どおりの日本の軍事の既成概念をひっくり返し、
己の軍学を築き上げようとしていた。
また、肺結核を患い、余命幾百日もない正岡子規も万葉集の頃から続く和歌を否定し、
近代俳句と短歌の確立に命を賭していた。
二人の革新精神のすさまじさ、熱い魂に心を打たれる。
特に正岡子規は病床にありながら、戦場さながらの猛々しい戦闘精神を備え持っていた・・・。
それぞれが自分の持つ能力を最大限に生かして、時代を突き動かしていく。
日清戦争の勝利により、「国家」という概念が人々の心に強く根付いた日本。
しかし、勝利に酔う暇はない。
背後には、牙から血をしたたせる肉食獣のように極東侵略の野望に燃えるロシアがいる。
行く手に待ち受ける日本の運命は・・・。
2009.11.12 (Thu)
「魚たちの離宮」
![]() | 魚たちの離宮 (河出文庫) (1993/07) 長野 まゆみ 商品詳細を見る |
「幽霊は盂蘭盆のあいだだけ、冥府を出ることを許される。」
碧く灯る狐火の迎え火で迎え入れられた魂とは・・・?
病気がちな友人夏宿(かおる)を見舞いに彼の家を訪れる市郎。
兄である夏宿を敬愛する弟の弥彦。
8月12日から15日まで、盂蘭盆の4日間の少年たちを描いた
美しく、切なく、幻想的な物語。
無駄がなく、研ぎ澄まされた言葉。
美しく流れるような情景描写を中心に物語は進む。
映画を見ているよう。
耳をすませると聞こえてくる微かな音。
葉ずれの音、雨の音、池の水面を鯉が跳ねる音、
あの世から旅立った魂を呼び戻すために、時折啼く鏡暮鳥(ほととぎす)の声。
人物の心理描写や状況の一切の説明はない。
噛み合わない会話はミステリアスな含みを持たせている。
水の面に映る月のようにゆらゆらとすべてが曖昧で儚く、
夢の中にいるよう。
紅い送り火とともに去り行く魂。
少年の儚い心、燃え尽きた命が切なく泣けた。
前回読んだ長野まゆみさんの「白昼堂々」は
萩尾望都の「トーマの心臓」っぽかった。
これはまさしく「ポーの一族」!
夏宿の象牙色のような肌の色、細い首。
鋭く透明なまなざし、凍てついた水晶のような冷たい手。
現実の少年なのか幻想なのか・・その曖昧さがなんともいい・・。
・・・夏に読みたかった・・。
2009.11.10 (Tue)
「子どもたちの遺言」
![]() | 子どもたちの遺言 (2009/01) 谷川 俊太郎田淵 章三 商品詳細を見る |
「子どもたちへの・・」ではなく「子どもたちの・・」に「?」と思い、手に取った。
作者谷川俊太郎さんも最初は、子どもたちに向かって遺言を書くという構想だったそうですが、
しかし、死からはまだはるかに遠い子どもが、死に近づきつつある大人に向かって遺言するほうが
この時代では、ずっと切実なのではないかと、発想を逆転されたそうです。
生まれ落ちたばかりの赤ちゃんの写真とともに掲載された「生まれたよ ぼく」という詩から始まる。
幼児、小学生、中学生、高校生、そして成人式を迎えるまでの子どもたちの日常の自然な表情を切り取った写真と詩。全12編。
これから一生懸命生きるから「邪魔をしないでね」と言う新生児。
「いつも温かく見てくれてるよね。一人じゃないうよね。」と問いかけるハイハイの赤ちゃん。
もう赤ちゃんではなく、いろんなことが分かって、
自分でできるようになった幼児の喜びと驚きの言葉。
周りのことや将来のこともちゃんと見据えて、考えている小学生・・。
自分が見つけられなくて寂しい思いをしている中高生の心の声。
「おかあさん ありがとう 私をうんでくれて」と、
今まで生きてきた道のりに感謝する成人を迎えた若者。
我が子と重ねたり、自分のこの頃を思い出したり・・。
どの詩にも胸が震えます。
子どもは生命のエネルギーの塊だとよく言います。
とにかく「生きる」。・・躍動する体、悩み考える心・・。
そんな精一杯生きている姿を嫌というほど見せつけられます。
それが子どもたちの私たち大人への遺言なのです。
忘れていたものを思い起こさせてくれます。
いやだ と言っていいですか
本当にからだの底からいやなことを
我慢しなくていいですか
我がままだと思わなくていいですか。
(中略)
大人って分からない
世間っていったい何ですか
何をこわがっているんですか
いやだ と言わせてください
いやがっているのはちっぽけな私じゃない
幸せになろうとあがいている
宇宙につながる大きな私のいのちです
(「いや」)
思春期の反抗期の「いや」(拒絶)は宇宙につながってるのか〜。
・・・我が子の今の姿と重ね合わせて、何度読んでも涙してしまう詩。
2009.11.07 (Sat)
「白昼堂々」
![]() | 白昼堂々 (集英社文庫) (2001/11) 長野 まゆみ 商品詳細を見る |
華道の家元を継ぐ原岡凛一とフットボール部のエース氷川享介。
少年二人の間に漂う、友情のような恋のような淡く切ない思いを描いた作品。
透明感のある静かな世界。
長野まゆみさんの文章は、美しく、なめらかで
情景描写などもすっと心に心地よく入ってくる。
声の温かさ、平坦さなどの描写も情景の一部となって
或いは小説の空気感となって、効果的に添えられている。
同性愛というと聞こえはあまり良くないが、
人を愛し、慈しむ思いというものは、性差の別なく
美しいものだと気づかされる。
むしろ同性である方が純度が濃いのではないだろうか。
それとは対象的に描かれている、
凛一のいとこの省子の揺れる恋心や
相手を愛するあまりの屈折した思いなどは
男女間の愛の純度の違いから生じるものであって、
男と女ってどうしてこううまくいかないんだろ〜って
思えてくる。
病弱で体もか細く、そして破綻無く整った美しい容姿を持つ凛一ではあるが、
その精神性は以外にも強固で、強気な意志と物言いがなんとも魅力的である。
傍らで見守る叔父の千尋の存在がいい!








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